天井の低い部屋が好きだ。

この仕事をしていると、「明るく広く」という要望をよく受ける。光をたっぷり取り込んで、天井を高くして、開放感を出す。天井をとっぱらって躯体現し、そんなのが一時期流行ったのもあるかもしれない。とにかくそれがいい空間だという共通認識がどこかにあって、まあ確かにそれは間違いではない。

でも私は、天井が低くて少し暗い部屋に、惹かれている。

手の届く天井を触りながら話をする。座り込んで、寝転んで、地面に近いところに体を置く。なぜか落ち着く。子どもの頃、押し入れの中や机の下に潜り込んで遊んでいた感覚に近いのかも。あの、外の世界から切り離されたような安心感。

高い天井の部屋は、どこか背筋が伸びる。それはそれで好きだし、場所によってはそうあるべきだとも思う。でもくつろぐための空間、プライベートな空間には、少し低くて、少し暗くて、体が沈み込むような場所の方が合っている、こともある。

制約はデザインの起点になる。天井が低い、梁が邪魔、柱が抜けない。そういう条件を「問題」として処理しようとすると、途端に面白みがなくなる。低いなら、低いままでいいのかも。むしろその低さを活かして、と考える。弱点だと思っていたものが、逆手に取ると一番の個性になる。

すべてのことには長所と短所、メリットデメリットがある。「ものは考えよう」とはよく言ったもので、どんな環境もそこにいる人によって全く違うものになる。そしてできればどんな環境も面白がって楽しがれる大人でいたいものだ。